
■受注獲得の営業活動に打って出ましょう!
世界同時不況による空前の厳しい経済環境のただ中で、私たちの仕事の現場にも確実にその影響が及んできています。突然下請け仕事を切られた、半減すると予告された等々の声が日々寄せられています。
振興センターへの下請け仕事の依頼の件数も昨年秋以来、激減しているというのが現実です。このような情勢の中では、待っていても仕事は向こうからやって来ません。こちらから果敢に挑戦してこそ、仕事を得ることができます。
かんじんなのは、それを行き当たりばったりで行うのではなく、計画的に行うこと。振興センターでは、そうした活動をご支援する「営業支援」事業を展開しています。次の新規取引先獲得の営業活動のプロセスのうち、「4.ターゲットの調査」と「7.訪問」を直接支援します。 「お問い合せ」ページからご相談下さい。

■新規取引先獲得の営業活動のプロセス
まず、自分たちに何がどれくらいできるかを良く知ること。利用者の状態や技能・職員の力量・過去の経験や実績・技術の蓄積・デリバリ(納品)・設備・作業空間・原材料の仕入れ先・支援者の支援体制などをチェックしましょう。
現在の工賃→目標工賃→目標売上→どのような作業種目をどれ位こなせばよいかを、できるだけ数字で現してみましょう。
情報収集→どんな企業に、どんなニーズがありそうか。ターゲットリストを作成します。
ホームページ、千葉県工場名鑑(千葉県商工労働部編)などを活用。近所にどんな会社や商店があって、どんな仕事をしているのかふだんから気をつけてチェックするようにしましょう。
具体的な企業の事業内容・信用状態、業界の競合関係、作業単価の相場、できれば福祉施設への発注実績等について調べられる限り、調べてみましょう。
インターネット上の「企業情報」データべースで、売上業績、収益指標、事業概要、財務内容等々を調べることができます。実費をご負担頂き、検索・出力いたします。
◆企業情報:1,200円/1検索
◆財務情報:200円/1検索
◆貸借対照表、損益計算書各800円/1検索
施設パンフレット、事業経歴書、名刺、アプローチブック*等の営業ツールを作成します。そして、自分たちの何をアピールするのか、ポイントを整理して、面談シナリオを検討してみましょう。
(*アプローチブックとは、相手に施設の概要や現在やっている作業内容などを、口頭ではなく、視覚に訴えて説明するためのツールです。説明したいことを、絵にしてみたり、図解やグラフで表現します。)
電話でのアポ取り(反応があるのは10件中1〜2件と心得る)。自分たちの施設名と要件を簡潔に話します。まず、職場の仲間を相手に練習してみましょう。
アポ無し訪問の方が効果がある場合もあります。(最低、担当者名を聞きましょう。)
アポが取れたら、いよいよ訪問。約束の時間の5分前ぐらいを目途に訪問。
言うまでもありませんが、身だしなみ、あいさつ、名刺の出し方・受け取り方には充分注意を。自己紹介をしながら、こちらの力量に適合した相手のニーズを探ります。
1回で話がまとまることは、まずありません。焦ったり、成果が出なかったとがっかりすることはありません。次回訪問の約束をとりつければ、まずは成功です。
振興センターでは、経営支援相談員による同行訪問の支援を行います。
忘れがちなのが、訪問後の挨拶。名刺に記載されたメールアドレス(メールアドレスが無い場合はFAX)宛に、会って頂いたことへのお礼のあいさつをその日の内に出しましょう。これだけで、相手の印象はずいぶん違ってきます。
十分な準備をして、何回かの訪問を繰り返せば、必ず仕事を出してもらえるようになります。実際に商談に入ってからは、納期や品質はこちらがクリアしなければならない条件ですが、工賃単価については相手の言い値をそのまま受け入れるのではなく、堂々と希望単価を主張しましょう。ただし、そのためには相場や市況についての情報の裏付けが必要です。
仕事の受注に成功したら、納期・要求品質・工賃単価・その他付帯条件(デリバリやクレーム時の対応等)について、可能な限り明文化してもらいましょう。
納期・要求品質についてはしっかりとこれを守ることが、信頼を得て、安定した取引を継続するための基本です。
仕事が軌道にのるようになったら、2で定めた目標が達成できたか確認しましょう。特に、就労継続支援事業B型の場合、個別支援計画に定めた目標工賃の達成度の確認は、半年ごとに行う必要があります。
仕事を発注する側から見ると、納期・品質を守ることは当然のことですが、さらに材料・品質・工程・納品等々について、改善の提案をしてもらえれば、信頼は盤石のものになります。お願い営業から提案型営業を目指しましょう。そのためには、利用者、職員が日々しっかりした姿勢で仕事に臨む中から改善のヒントをつかみ取るということはもちろんのことです。
■営業トークべからず集
企業等への下請け作業を受注するための営業活動にあたっては、こちら側が「何が」できるかについて正しい情報を提示することはもちろん大切なことです。しかし、同時に仕事を出して頂くことによって「どのようなメリットを提供できるか」についても正しく、かつ説得力のある説明が必要です。
以下に、営業活動するにあたって、福祉事業所職員がつい口にしてしまいがちなトークを列挙しました。これらは、正しい情報を伝えたつもりでも、仕事を受注するどころか相手に誤解を与え、誤った障害者観をもたらすことにつながりかねません。よく、自己点検してみましょう。
なお、振興センターでは営業活動に関する疑問やお困りごとにいつでもご相談にのります。
ご遠慮無くお問合せください。

新しい仕事や環境にすぐに慣れるか否かは、一般的には個人差の問題です。全体に慣れにくい人が多いということであったにせよ、慣れるまでの仕事の量、納期等について交渉すればよい話です。ましてやパニックを起こす、起こさないは職員が対応すべき仕事の範疇ではないでしょうか。そのことを交渉の場で、結果が出せないことの予防として話すべきではないでしょう。
仕事の習熟に時間がかかるというのは事実でしょう。また作業の能率もなかなか上がらないということも事実かもしれません。一方で、いったん身につけた仕事は粘り強くこなし、ときに驚異的な作業能力を発揮する人がいるということも事実ではありませんか。一人一人の持てる力や適性、興味の方向を把握し、仕事を作業分解してマッチングをはかるということは職員の大切な仕事です。(一般企業においても、適材適所をはかるというのはマネジメントの基本事項です。)何が「出来ない」ということよりも、何が「できる」ということを強くアピールしましょう。
過去にそのようなことがあったからといって、常時あることだと相手に向かって言って良いこととは思えません。利用者に対して粘り強く仕事の意味を理解させることこそ必要なことであって、外に向かって利用者の尊厳を傷つけるようなことを言うことは適切なことではありません。何より、そんな話を聞かされた人が仕事を任せる気になるでしょうか。
利用者は福祉事業所での仕事を通して「社会参加」という機会を得ます。そのことを担保するのは福祉事業所における生産活動がその中で完結するのではなく社会に向かっていることです。こちらの事情を主張するだけでなく、相手の事情も斟酌しなければなりません。そのためには、通常できること、無理をすればできること、他の協力を仰げばできること等々、日頃から個々の利用者ではなく事業所全体としての対応力を棚卸しし、何がどこまで出来、どこから先が出来ないかを明確にしておく必要があります。もちろん「どこから先が出来ない」を最小化する努力を怠らないことが、安定した仕事の受注につながるわけです。
企業等仕事を出す側から言えば、事業展開は予想外なことの連続で、突然売れ行きが落ちることもあれば、逆に販売が急増することもあります。ということですので、特に製造業等においては、増減をできるだけ予測した上で、販売目標を販売予算に落とし込み、売上や製造の極度のバラツキを平準化しようとします。それを踏まえるならば、最大でどれくらい増える可能性があるのか聴き取っておくようにし、それに対応するにはどんな備えが必要かも考えておくべきです。ロットの急増は職員の負担が増えるだけだから対応しません、だけでは相手の信頼を得られないし、逆に仕事が急減したときに堂々とこちらの主張をすることが難しくなります。
品質トラブルの多くは属人的なうっかりミスです。だからと言って、ミスをおかした当人を叱責すれば再発が防止できるかというと、そんなことはありません。叱るよりなぜそのようなミスを犯したのかについて真の原因を究明し、当人の作業適性も含めた、全体の仕事の仕組みとしてミスを出さない・ミスを再発させない体制づくりが必要です。振興センターでは「はーとふるメッセ品質保証規定」においてその手順を定めています。
納期遅れは、相手の信用を決定的に失わせることになります。「臨機応変な対応」の項で述べたように、こちらの能力やスケジュールの棚卸しと、利用者に休みが出た場合も織り込んだ対応体制を構築しておきましょう。基本的に商取引とは売り手・買い手のギブアンドテイクの関係ですので、こちらが困ったときだけ相手に譲歩を要求することは避けなければなりません。ただし、本当に困ったときは、代替策をしっかり提示した上で、率直に相手側に相談しましょう。
安定した品質こそが、発注者が望んでいることです。これが出来ないようであれば、発注する意味はなくなります。品質の安定には多少時間がかかるかもしれませんし、ロスも多く出すでしょう。ここのところは相手側に丁寧に説明し、また利用者に対しては粘り強い訓練で克服するしかありません。安定した品質を維持できているところは、工具・治具にさまざまな工夫が凝らしてあります。そのような事業所を積極的に見学し、学び取ってもらいたいものです。
千葉県内の多くの事業所で菓子やパン等の自主製品づくりを行っています。そうした事業所の努力の積み重ねにより、施設の食品の安全性についての信頼が徐々に広まりつつあります。障害者は「衛生観念が無い」との一言は、そんな事業所の長年の努力を一瞬でふいにします。「衛生観念が無い」のは利用者の責任ですか、それとも事業所の責任ですか。答えは明快でしょう。事業所での衛生管理のシステム化こそが求められることです。
工賃は、働く障害者の社会参加の度合いを示すバロメーターです。相手の言い値で良いという発想は、障害者の労働の価値の否定に他なりません。多くの場合、発注する側も基準を持ち合わせていません。福祉的就労のメリット(職員の給与等の経費を原価に含めなくてよい)はアピールしても良いですが、工賃については利用者にいくら払いたいか、過去の実績値、他の事業所の実績値等々事前によく研究しておいて、「これくらいでいかがでしょうか」と堂々と主張しましょう。折り合わなければ、更に交渉すればよいのです。
印刷用(PDF 132KB)
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